皆さまから寄せられた樋口和彦語録

 

いろいろな場面で父に関わって下さった方々より、「私の心に、樋口先生のこんな言葉が残っているのですよ」と教えていただくことがあります。

 

いくつかご紹介します。

 

高木総平先生(日本キリスト教団 高の原教会牧師)が、『心に残る樋口先生の言葉』をまとめて下さいました。

 

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「リアリティとファンタジーの間にあるとき、人は(心は)最も生き生きしている」

 リアリティは現実、ファンタジーは超越の世界のことです。この言葉は直接お聞きしましたし、『信徒の友』の「遊び」の特集で書かれていました。遊んでいる子どもの心の状態や信仰のあり方を言い当てています。信仰では、この世にありながら神の国に生きるとか、見える世界に生きつつ、見えない世界に生きるということになると思います。また超越の世界につながっている無意識の世界に触れるということでもあり、先生の真骨頂が表れている言葉です。

 

「カウンセリングの基本の基本は『離れて関心を持て』」

 有名なH.S.サリヴァンという精神科医の「観察しながらの参与」の言葉と同じ意味でしょうが、樋口先生から直接お聞きすると迫力が違います。これは子育てや難しい人間関係にも必要な姿勢です。

 

「牧師ができたら一国の大統領にもなれる」

 多岐にわたって求められる牧師の仕事の困難さ、たいへんさを言い当てている言葉です。牧師へのエールです。

 

「お前が見るに耐えることができたら続けろ」

 箱庭療法における、殺伐とした世界を描いた難しいケースについて相談した時に言われた言葉です。このようなことは河合先生の『箱庭療法入門』にすでに書かれていたことですが、樋口先生が直接言われると、心への入り方が全く違っていました。改めて生きた知恵というものがどのように教えられるかということを知った出来事でした。

 

「これからは同労者だ」

牧師として教会に出ていく時に、いただいた言葉です。

 

「高級な主観を持て」

変な客観主義、科学主義や低級な主観が溢れている今、含蓄のある鋭い言葉です。

 

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以下は、他の方々からいただいたものです。

 

YY様より

樋口先生が『白黒がつかない灰色のような状態を生き抜くことが重要』だと言っておられたのを思い出します。灰色のなかにこそ、ヒトのこころや手当のあたたかさが生きるのだと思います。

 

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WK様より
「気にかけるだけで、十分なんだよ」
悩んでいる私に、そうアドバイスして下さった樋口先生の言葉、本当にそれがすべてだなと、つくづく思わされている今日この頃です。

 

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NT様より

いろいろな活動を通して、最近わたしも少し変わってきたと言うか、力が抜けてきたかもしれません。 樋口先生がよく仰っていた、「『いい加減…』ではなくて、『よい加減!』」が理想です。

 

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OY様より
「自分の炉の火を消すな」が残っています。錬金術からの言葉で、自分の面接室を大切にし、そこでの火を消すな、ということです。つまり、ケースをやり続けなさいということです。

 

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RB様より

 「Life goes very fast!」(今、その言葉を実感しています。)